大判例

20世紀の現憲法下の裁判例を掲載しています。

最高裁判所第一小法廷 昭和36(オ)675 判決

主 文

本件上告を棄却する。

上告費用は上告人の負担とする。

理 由

上告代理人西野義美の上告理由第一点について。

上告人主張の本件家屋売買の予約は、上告人も被上告人もそれを希望した事実の

あることは認められるが、いまだ予約として締結するまでには至らなかつた旨の原

審の事実認定は、挙示の証拠に照らし、首肯できなくはない。所論はひつきよう原

審の適法にした証拠の取捨判断及び事実認定の非難に帰するから採用し得ない。

同第二点について。

本件において、上告人の主張するところは、上告人は本件家屋の所有者である被

上告人B1を代理する被上告人B2との間に、その主張の如き条件をもつて、今後

半年ないし二年の間に右建物を買受ける旨の売賀予約が成立したというのであり、

これに対する被上告人らの答弁は、ただ単に右事実を否認したにとどまり、それ以

上所論指摘のような事実の主張がなかつたことは所論のとおりである。

しかし、原判決が、証拠の関係から上告人の右主張事実を否定しようとするにあ

たり、証拠によつて肯認できる右所論指摘のような事実を認定し、当時の実情はた

だ互にその希望を述べ合つただけであつて、それ以上売買予約の締結という段階に

までは至らなかつた旨の説明を加えたからといつて、これをもつて所論の違法あり

とすべきではない。それゆえ論旨は採用できない。

同第三点について。

しかし、所論(一)、(二)の事実は上告人主張の売買予約の動機ないしその成

立を推認せしめる事実として述べられたものと認められるから、原判決が事実摘示

欄に売買予約の主張を摘示する以上、所論(一)(二)の主張を記載しなかつたと

- 1 -

しても違法とはいえないし、また原判決は、所論(一)については、そのような希

望が述べられただけで確定的に予約が締結されたものでない旨認定しているのであ

るから、右主張を排斥するものであること明らかであり、所論(二)については、

材料の提供があつたとしても予約成立を認めるに足りないと判断している趣旨であ

ること原判文の全趣旨に徴してうかがいうるところであるから、原判決には所論の

違法は認められない。

よつて、民訴四〇一条、九五条、八九条に従い、裁判官全員の一致で、主文のと

おり判決する。

最高裁判所第一小法廷

裁判長裁判官 高 木 常 七

裁判官 斎 藤 悠 輔

裁判官 入 江 俊 郎

裁判官 下 飯 坂 潤 夫

- 2 -

自由と民主主義を守るため、ウクライナ軍に支援を!